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水辺の植物観察 番外編 怪盗みずたがらし

数ある時代小説の中で、平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」が好きで、何度も繰り返し読んでいます。
物語の内容も好きなのですが、美しい四季の花々や、事件の小道具として毒のある植物が数多く登場するのも読んでいて面白いことのひとつです。
それらは、今も観賞用として愛されていたり、毒のある植物として度々話題に上ったりする、誰でも知っている植物です。
ただひとつだけよくわからない植物が登場します。それが、タイトルの「みずたがらし」です。

「怪盗みずたがらし」というのは、江戸の町を荒らし廻った盗賊団のあだ名で、この盗賊団に入られると有り金はもちろん、金目のものはすべて盗まれるということで、まるで「みずたがらし」のようだ、と書かれています。

本文の中で、みすたがらしという植物について、次のように書かれています。
・水田に群がって生える雑草。
・春に白い花が咲く。
・根元から長い蔓を伸ばして、刈り取るのも引き抜くのもやっかい。
・そのままにしておくと増えて、水田が使い物にならなくなる。
・そのため、「みずたがらし」と言われる。

これを読んで、まず思い浮かんだのが、タネツケバナ(アブラナ科)です。タネツケバナも水田に生えて、春に白い花を咲かせます。根が強く、引き抜くのが大変な植物です。ただ、タネツケバナの根元から長い蔓は伸びません。
図鑑やネットで探してみると、同じアブラナ科にミズタガラシというのがあると分かりました。このミズタガラシは匐枝を伸ばしますし、特徴はかなり一致するようです。
ただし、少しだけ疑問に残る点もありました。
まず、物語の内容から考えて、「みすたがらし」を漢字に直すと、「水田枯らし」になるのだと思います。図鑑に載っているミズタガラシは「水田芥子」です。
この漢字の問題は、作者が物語の内容と植物の特徴に合わせて、「財産の全てを無くす=水田を枯らす、使い物にならなくなる」を強調したと考えれば納得がいきます。
もうひとつ、ミズタガラシの匐枝は、水田が使い物にならなくなるほど強力に繁殖するものなのか、ということです。

今回の湿地では、ミズタガラシの匐枝が四方に伸びて、地表を覆い尽くしているのを見ました。

(写真をクリックすると大きくなります。)

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今回見た様子だけでは、どのくらいの繁殖力があるのかよく分かりませんが、ミズタガラシは小説に登場する「みずたがらし」の最有力候補となりそうです。

「怪盗みずたがらし」は、文春文庫「お吉の茶碗 御宿かわせみ20」に収録されています。

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コメント

平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」は私も好きで一時、ずいぶんハマりました。
テレビでも放映されていたのを結構楽しみに見ていました。
ミズタガラシの話はうろ覚えですが・・・
今はもう目が悪くなり、新聞を読むのがやっとです。
あんなに本が好きだったのに不思議です。

投稿: sage55 | 2012年5月31日 (木) 10:01

解凍ミスった芥子
(゚◇゚)☆\バキ
だって思い浮かんでしまったんだよーー

投稿: アライグマ | 2012年5月31日 (木) 21:44

sage55さん

私も「金曜時代劇」を楽しみにしていました。今でも再放送があると見ています。(^_^)
眼は私も…です。図鑑を読むのが辛くなってしまいました。パソコンと図鑑を交互に見て…、なんてことをすると、もう目が疲れてしまって。くたくたです。

投稿: ひなた | 2012年6月 1日 (金) 01:55

アライグマさん

とりあえず、眼鏡を買おうか・・・。もちろん、自費で買ってね。

投稿: ひなた | 2012年6月 1日 (金) 01:57

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